子どもの視点ー9月2011年



どんなに賢い子どもでも、大人のように冷静に状況を理解することはなかなかできません。大人は、ついそのことを忘れてしまい、子どもがどのように理解しているのか、見逃してしまうことが多いようです。自分と他者との境がはっきりしない発達過程の子どもは、自分の周りでおこることが、自分のせいだ、と感じてしまう傾向があります。たとえば、自分の両親がケンカするのは「僕が悪い子だから」。離婚して、片親が家を出て行くことになると「私のことが嫌いだから」等、大人からしたら、予想もつかない結論を出して、傷ついていることがよくあります。

 

経験豊富な、尊敬されている心理学者が言ったそうです。クライアントがどうしてそのような言動をとるのかわからないときには「まず本人にききなさい」と。とてもシンプルですが、役に立つ言葉です。これは、もちろん子どもにも通用します。何か元気がないようだ、思い詰めているらしい、もしくは、いつもよりケンカがたえない、急にオネショや赤ちゃん返りをするようになったら、まずは子どもに聞きましょう。

 

その聞き方ですが、あれこれと決めつけてはいけません。もちろん怒って、声を荒げてもいけません。子どもが本当に言いたいことを抑圧してしまう可能性があります。 目線を会わせながら、「○○ちゃん/くん、どうしたのかな?」と、優しく聞いて、 自分で説明する空間/余裕をあげましょう。そして、子どもが言ったことに対して、「そんなことを思って、バカバカしい」等、否定しないで下さい。同意する必要はありませんが、理解はしてあげられるよう、努力して下さい。何かを誤解しているようなら、その子が解る言葉で、ちゃんと説明してあげて下さい。そして、話してくれたことに感謝しましょう。

 

理路整然と順序だってしゃべれない子どもの話を聴くのは、時間と心の余裕がなくてはできません。子どもが喋りたい時に時間も余裕もなくて、「あとでね」とやり過ごしてしまうときもあります。しかし、子どもの時間感覚は大人とは違います。「あとで」が永遠のように長く感じて、「どうせいつも自分の話は聞いてもらえない、自分は大切ではない」と思ってしまう子が多いようです。ですから、後で必ず、寝る前や、食事の後など、少し時間があり、自分も心に余裕のある時に、「さっきはちゃんと話が聞けなくてごめんね。今ならちゃんと聞けるから、話してくれる?」と聞いてみましょう。最初はすねて「別にいいよ」と言うかもしれませんが、その子の気持ちや、考えに興味がある、大切に思っているという姿勢を伝えれば、ちゃんと話してくれるものです。大人の子どもの意見を尊重する態度が、子どもの自信と考える力を育てます。誤解も早く解消して、トラウマにならずにすみます。是非、試してみて下さい。