気まぐれなお天気だった春も終盤。いつもなら、姿を消している忘れな草がいつまでも咲いていて、ちょっと嬉しくなります。日本では新学期がはじまり、なにかと自分を振り返る機会も多いのではないでしょうか?今日は、私がしばしば保護者の方と話していて気になる「良い母親/父親」像についてお話ししましょう。
「良い母親/父親」とは?
親になるのに試験はいりません。「こうすれば良い親になれます」という黄金律もありません。わざと傷つけないという、最低限のことを守り、さらに一人では生きてゆけない、可愛いけれども未熟な子どもを育てるという、不安や焦りもあることでしょう。でも子育てとは同時に、親も成長する時期です。複数の子どもがいる場合、同じ親を持っていても、体験する子育て、親の対応も違ってきますので、兄弟姉妹が違う人間に育つのは当然です。
産んでしまえばなんとかなる、という昔流の考えは、人間関係の希薄な現代では通用しないでしょう。周りのサポート無しで、親になるのは大変なことです。人は、新しい事に直面した時、無意識に自分の記憶から関係した経験を引き出して参考にします。子ども時代に忌み嫌っていた事でも、気づくと自分の親と同じ事を自分の子どもに言ったり、したりする事はありませんか? では、「良い母親/父親」になるにはどうしたらよいのでしょうか?
まず、あなたにとっての良い母、父とは、どんな人物でしょうか。それは、あなたの理想ではあっても、あなたの子どもが望んでいる親の像と一致するとは限りません。あなたが子どもの頃にしてもらえなかったことを、無理に子どもに押し付けてはいませんか?それは、あなたが欲しかったもので、あなたの子どもが欲しているものではないかもしれません。子どもの意見を聞くことが大切です。両方を考慮した上で、その家庭なりの子育てを試行錯誤していきましょう。
完璧な人間がいないように、完璧な親もいないのです。そして完璧な子育ても存在しません。安全を確保した上で、色々試してみて、間違えたと思ったら、反省して、子どもにも謝って、直せばいいのです。そして、上手くいったと思ったら、その成果を家族で楽しみましょう。 家事を完璧にこなすお母さん、沢山お金を稼ぎ、何でも買ってくれるお父さんが良い親とは限りません。それは、とても表面的なことであって、本質ではないのです。間違いを恐れず、柔軟な対応ができる、ゆったりとした態度が、子どもの良いお手本になるのではないでしょうか?移ろいやすい「良い母親/父親」像に縛られず、子どもとのかけがいのない時間を楽しんで下さい。お互いに人間として成長してゆけば、あなたの親としての評価は、子どもが時間を置いた後に出してくれることでしょう。