
Open Heart-心をひらいて
心を開いて、相手とまた自分と向き合うことは、とても集中力がいると同時に、心地よい体験でもあります。昔から「心ここにあらず」と言いますが、相手がほか事を考えていたり、相づちはうっても、本当はちゃんと聴いていないと、それは話し手にわかるものです。それは、相手の、若しくは自分の心が開いていないからかもしれません。
言葉が通じない相手でも、心を開いて、相手の気持ちを受け止めようとすれば、何故か気持ちが通じあうことがありますね。まさに「心が通い合う」事が可能になるのです。
私の大学院の心理学の教授が、こんなエピソードを聞かせてくれました。彼女の母親はもう高齢で、少し物事がわからなくなってきていました。ある年のサンクスギビングの時の事です。ダウンタウンに出かけたら、いつもとは違って、街はがらんとしていました。不安になったらしい母親は、娘に何度も「どうしてこんなに人が少ないのかしら?」とききます。「サンクスギビングだから、皆家にいるのよ」と説明しても、数分もするとまた同じ質問をします。彼女はだんだん腹が立って来て、どう説明しようかと困り果てました。その時、はっと気づいた彼女は、「そうね、何故かしらね?」と心を開いて答えたら、母親は気が済んだらしく、安心して同じ質問をするのをやめたそうです。母親は説明が欲しかったのではなく、不安だという気持ちを受け止めて欲しかったのです。
人はなにかと理由をつけ、説明することで安心しようとしがちです。 特に大人は すぐ「良い/悪い」でジャッジする傾向があります。それも必要な能力ですが、人の思いには、あてはまりません。(その気持ちを元に、どのような行動にでるか、はまた違ったことです。)
思いに良い、悪いをつけ、制限しようとすると、結局それに振り回されてしまいます。それよりも、心を開いて、ああ、今はこんな風に感じる、と受けとめて、それに執着しなければ、その気持ちは必ずまた動いて行きます。あなたが感じることであっても、あなたが所有するものではないのです。心を開いてそれを受け止め、また自然と離れていくように手放してゆくのか。心を閉ざして、自分に入ってくるのも、出て行くのも、止めてしまうのか。それはあなたの心しだいです。自分のやることに全て責任がある、コントロールできるという思い込み、それからくる罪悪感を、手放す、Let it goすることは、自分を、そして相手を解放してあげることにつながります。
初夏です。重い冬着は脱ぎ捨てましょう。心を開いて、身も心も軽やかになってみませんか?