November 2011 Archives

ストレスが溜まり、不安な気持ちになると、私達はつい細かいことに意識が向いてしまいます。完璧を目指すあまり、いろいろ心配しすぎて、目の前の現実を楽しむ余裕がなくなってしまいがちです。一人で考えていると、よりいっそう、こういった傾向に陥りがちです 。

 

私は サンホゼのシニアセンター「友愛会」で 毎月無料で開催されている、患者と介護者のためのキャンサーサポートグループをお手伝いさせて頂いています。少人数で集まるこのグループは、全米でも数少ない、日本語でのサポートグループです。家族や知り合いを通して、または当事者として癌を体験している人、した人が安心して自分の気持ちを話せる場です。

 

患者や家族、友達が心配しないよう、本当のことは話さずに、「大丈夫」という姿勢を保ちたい気持ちも理解できます。でも、どこかでガス抜きをしましょう。心がまいってしまいます。サポートグループでは守秘義務もあり、心配なく自分の本当の気持ちを話すことができます。一人で思いつめるのではなく、似た体験を持つ人たちと、 気持ちを共有することで、孤独感が軽くなります。明日への活力も湧いてくるでしょう。つい、偏った考えに陥るという弊害を防いでくれます。サポートグループは、難しい状況をウツにならずに乗り切るための、重要なツールです。是非利用して下さい。

 


一人で籠って考えたい気持ちもわかりますし、それが必要なときもあるでしょう。でも、何時までも籠って、悩まないようにしてください。バランスが取れるように、サポートグループや、セラピーを活用して、皆さんが心身ともにバランスがとれて、健康でいられることを願っています。

子どもの視点ー9月2011年

どんなに賢い子どもでも、大人のように冷静に状況を理解することはなかなかできません。大人は、ついそのことを忘れてしまい、子どもがどのように理解しているのか、見逃してしまうことが多いようです。自分と他者との境がはっきりしない発達過程の子どもは、自分の周りでおこることが、自分のせいだ、と感じてしまう傾向があります。たとえば、自分の両親がケンカするのは「僕が悪い子だから」。離婚して、片親が家を出て行くことになると「私のことが嫌いだから」等、大人からしたら、予想もつかない結論を出して、傷ついていることがよくあります。

 

経験豊富な、尊敬されている心理学者が言ったそうです。クライアントがどうしてそのような言動をとるのかわからないときには「まず本人にききなさい」と。とてもシンプルですが、役に立つ言葉です。これは、もちろん子どもにも通用します。何か元気がないようだ、思い詰めているらしい、もしくは、いつもよりケンカがたえない、急にオネショや赤ちゃん返りをするようになったら、まずは子どもに聞きましょう。

 

その聞き方ですが、あれこれと決めつけてはいけません。もちろん怒って、声を荒げてもいけません。子どもが本当に言いたいことを抑圧してしまう可能性があります。 目線を会わせながら、「○○ちゃん/くん、どうしたのかな?」と、優しく聞いて、 自分で説明する空間/余裕をあげましょう。そして、子どもが言ったことに対して、「そんなことを思って、バカバカしい」等、否定しないで下さい。同意する必要はありませんが、理解はしてあげられるよう、努力して下さい。何かを誤解しているようなら、その子が解る言葉で、ちゃんと説明してあげて下さい。そして、話してくれたことに感謝しましょう。

 

理路整然と順序だってしゃべれない子どもの話を聴くのは、時間と心の余裕がなくてはできません。子どもが喋りたい時に時間も余裕もなくて、「あとでね」とやり過ごしてしまうときもあります。しかし、子どもの時間感覚は大人とは違います。「あとで」が永遠のように長く感じて、「どうせいつも自分の話は聞いてもらえない、自分は大切ではない」と思ってしまう子が多いようです。ですから、後で必ず、寝る前や、食事の後など、少し時間があり、自分も心に余裕のある時に、「さっきはちゃんと話が聞けなくてごめんね。今ならちゃんと聞けるから、話してくれる?」と聞いてみましょう。最初はすねて「別にいいよ」と言うかもしれませんが、その子の気持ちや、考えに興味がある、大切に思っているという姿勢を伝えれば、ちゃんと話してくれるものです。大人の子どもの意見を尊重する態度が、子どもの自信と考える力を育てます。誤解も早く解消して、トラウマにならずにすみます。是非、試してみて下さい。

 

 

 

物事の考え方(認知)や表現方法によって、私達の感じ方は大きく影響されます。例えば、コップに水が半分入っているのを見て、「ちぇっ!もう半分しか入ってない」と考えますか?それとも「ラッキー!まだ半分も入っている」と考えますか?全く同じものを表現しているのに、 心的構成(フレーミング )次第で、印象が変わります。前者は悲観的な感情(不満、焦り、悲しみ、怒り等)を引き起こし、後者は楽観的な感情(喜び、感謝、満足感等)を引き起こします。そしてその感情が、その後の判断や行動に大きく影響するのです。 商品の広告やマーケティング、ニュースの解説等はこういったフレーミング効果を利用して、私達の判断・行動を彼等が意図する方向に誘導しようとします。こうしたフレーミング効果や認知を、自分の意志でポジティブに活用する事もできます。認知療法はその最たる例で、ウツの治療や、前向きな人生を送る為に広く活用されています。(認知療法に興味のある方は、デビット・バーンズ著『いやな気分よ、さようなら』をご参照下さい。)

 

一度「悪い子/困った子」というフレームを作った子どもに対しては、中々良い面を見ることが難しくなります。何かあると「やっぱり!」とその子の悪い所ばかりが目についてしまいます。でも、「素直に言う事を聞かない子」は「ちゃんと自分の意志のある子」かもしれません。私が昔、スクールカウンセラーとして、小学校の先生や保護者と話す時に子どもの行動をポジティブにフレーミングし直すと、先生や保護者の方は、始めはキョトンとしましたが、新しい視点で子どものことを見るきっかけになり、彼等の対応が変化し始めました。全てのことをポジティブに変える必要はありませんが、その子の特徴を長所として認めると、本人の自信もつき問題行動が減少し、周りの人の対応も楽になっていきます。

 

自信のない人は、 無意識にネガティブなフレームを自分に当てはめ、出来ない事ばかりを探すことが多いようです。寝る前にベッドの中で大反省会をする代わりに、今日一日、自分が努力した事、完全ではなくても、できた事を3つ思い起こしてみて下さい。 「部屋を少し片付けた」「いつもより、子どもに優しく接した」等、 些細な事で構いません。そして「がんばった。えらいぞ。」と自分を褒めて、ポジティブなフレーミングに変えてみましょう。自分の気持ちに嘘をつく必要はありませんが、認知を少し修正する事で、気持ちは確実に楽になります。何かを改善した方が良い状況であれば、ポジティブなフレームに変える事で、実際の行動を起す後押しにもなるはずです。

 

自分のポジティブな面に気がつく訓練をしていると、周りの人のポジティブな行動にも気づきやすくなります。いつも文句ばかり言い、自分にも、他人にも厳しい人は孤独になりがちです。反対に、自分や周りのポジティブな面を認めて、小さな事にも喜びを見いだせる人の周りには、人が集まって来ます。なぜなら、心地よいからです。現実から目を背ける必要はありませんが、心地よく過ごす為に、少し考え方を調節してみませんか?

対人関係において、相手に悪気がなくても、自分には不快でやめて欲しい嫌な事はよくありますよね。 それは子ども同士にも頻繁におこることです。私がアメリカ、現地校でスクールカウンセラーをしていた時によく子ども達に教えていた対処法があります。とても簡単、かつ効果的なので、先生達もよく使っていましたが、意外に知らない方もいるようなので、またここで紹介してみようと思います。

 

「1・2・3ステップ」といって、他の人に嫌な事をされた時に、どのように対処するか、という簡単なテクニックです。最初に、

 

1:"(Please) Stop it!" /「やめて(下さい)!」と自分の意志を伝えるーこれでやめてもらえたら、しめたものなのですが、なかなかそうはいかない場合もあるでしょう。その時は

 

2:Walk away/その場を離れるー大概はこれで大きなケンカになることを防ぐ事ができますが、距離をとるのが状況的に難しい時もあります。

 

3:Tell someone you can trust to get help/ 信用できる人に相談して助けを求めるーyard dutiesや先生、保護者、セラピスト等に相談し、大人や第三者に介入してもらいます。

 

この順番も大切です。はじめから自分で解決しようとしないと、いつまでたっても子どもは自立心や自信がもてず、周りに依存し、弱い子だとみなされ、いじめや虐待のターゲットにもなりかねません。

 

これは、子ども同士だけではなく、子どもが大人から虐待されるのも防ぎます。不審者が近寄って来た時に、また知っている人でも、何か嫌なことをされそうになった時には「やめて」と伝え、その場から「逃げ」、他の人に「助け」を求める事で、犯罪を未然に防ぎ、あるいは早期発見につながります。また、大人もこのテクニックを利用できます。例えば、職場で同僚/上司との間でやめて欲しい事があるときは、1:相手に解りやすいように自分がその行為/言葉を嫌がっている事をはっきりと伝える。2:その相手とそういった状況/環境に居合わせないようにする。3:上司/HR等に相談する。ここでも、対処の順番が大切になってきます。相手に自分の意志を伝える前にいきなりHRに駆け込んでも、先ずは自分の意思表明をすることを薦められます、また大切なのは、1・2で上手くいかなかった時に、必ず3に進む事です。一人で悩まず、周りの人の協力を得て、より良い関係を築いていきましょう。