September 2009 Archives

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前回につづいて、トラウマ治療のEMDRについてお話します。EMDRとは、Eye Movement, Desensitization and Reprocessing の略です。80年代後半、Dr. Francine Shapiro によって開発された治療法で、現在、世界中で活用、研究されています。最近では、コンバットトラウマや、災害被害者だけではなく、もっと広い範囲で色んな人達に効果的だとわかってきました。そこで、PTSDになるような大きなトラウマではなく、 Disturbing Live Experiments の影響による、現在の生活の中の支障への治療法、という形に移行しています。

Disturbing Life Experiencesって何?

誰でも体験するような、小さい頃におこった些細な事が、意外な形で影響していたりします。その原因がDisturbing Life Experiences (以前は比較的小さなトラウマ、という意味でsmall t と呼ばれていました)と言われています。Dr. Shapiro の初期の本、"EMDR: The Breakthrough Therapy for Overcoming Anxiety, Stress, and Trauma"の中でも紹介されていますが、仕事もできて、とても素敵な男性なのに、せっかくの昇進の話も、女性からのデートの誘いも自分から断ってしまい、自己嫌悪に陥っていました。彼にEMDRを施行してみたところ、以外な子どもの頃の記憶がよみがえってきました。それは彼が5歳の時、大好きなボールを追って、階段を踏み外しそうになった時に、母親が「危ない!」と大声で止めた時のことです。それ自体は日常の一コマであり、彼の母親は子どもが階段から転がり落ちるのを止めるために、非常に正しいことをしたわけですが、子どもの彼の脳には、「好きなものを追っていくのは危ない」と記憶されてしまったわけです。彼自身も忘れていたその関係づけが、自分が望んでいることを遠ざけていたのです。EMDRを使って、5歳の彼には 理解できなかったけれど、現在のおとなとしての正しい関係づけにもどすことができるのです。セラピストが次の週のセッションに会った時には、彼は昇進を受け入れ、魅力的な女性とのデートの約束に胸をときめかせていました。

私のクライアントも同じような経験をした人が多くいます。普通のカウンセリングでは長くかかるDisturbing Life Experiencesの発見、その影響への治療が、EMDRでは非常に早いペースで進みます。人や、状況によって結果はまちまちですが、子ども達は特に早く反応し、EMDRでの治療効果が出やすいようです。それは、おとなとちがって、まだDisturbing Life Experiencesの数が少ないからではないかと推定されています。その影響の呪縛から解き放たれて、その子ども、その人の本来の魅力が発揮されるのをお手伝いするのがEMDRなのです。興味の有る方は、 英語 http://www.emdria.org 日本語 http://www.emdr.jp の学会のウェブサイトもあります。
「どうしてこうなのかしら?」と一人で悩まないで、まずは相談してみて下さい。

Participated 20th EMDRIA Conference

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The 20th EMDR International Association (EMDRIA) conference was held in Atlanta, Georgia, at the end of August. It was very exiting gathering all around the world.
Dr.Francine Shapiro and I in the picture. Dr.Shapiro developed EMDR when she was working in Stanford research center in Palo Alto. Now, EMDR is used world wide for treating trauma.

EMDR学会に行ってきました

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8月の末にジョージア州、アトランタで開かれた第20回、EMDR学会に参加してきました。
EMDRの生みの親、Dr.Francine Shapiroと一緒に。世界中から参加者があつまって、とても充実した物でした。彼女はパロアルトのスタンフォードにつとめていた時にこの療法を開発したんですよ。
詳しい事は、次回のニュースレターで紹介します。

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今回は私が参加したEMDR学会で体験したことを9、10月号で皆さんにもお知らせしたいと思います。ジョージア州、アトランタ市で開かれた、今年で20周年になるこの学会。日本はもとより、台湾、イギリス、ルワンダ、インド、フランス、ガテマラ等、世界中から参加者があり、とても充実したものでした。参加者は医師、看護婦、カウンセラーなど、トラウマ治療をする医療機関の人達です。

トラウマ(心理的外傷)って何?
最近では日本でもよく使われるようになったこのトラウマという言葉。割合に新しいコンセプトですが、「虐待」等と同じく、昔から人間だけではなく、動物も体験してきたことですが、それを表現する言葉が存在しなかったわけです。簡単にいえば、なにか、心に傷の残るような出来事がきっかけで、その事件に関係する危険なものはもとより、本当は危険でないけれども、その事件を思い出させる物、場所、時間、匂い等に過剰に反応するようになります。(時には逆に麻痺したり、感じなくなります。)
これは、ニュースで報道されるような大事件から、他の人にはどうということのない日常の一コマが原因かもしれません。でも、その人にとって多大な心理的影響を与えるという意味では、かわりません。あえて言えば、小さなトラウマのほうが見逃され、早く処置を受けられず症状を悪化する事もあります。特に、子どもには、大人のように理路整然と事態を理解する理論はありません。彼等なりに理解しようとし、時には大人には考えつかないような関係付けをすることもあり、誤解されたりもします。

トラウマが積み重なると、落ち込んだり、怒りやすくなったりします。大人でも自分からその変化に気がつき、助けを探すことが難しいのに、こどもならなおさらです。まわりの大人が、気がついて手を差し伸べてほしいのです。
子どもの症状としてよくあるのは、以前はなかったのにオネショ、お漏らしをするようになる。突然さめざめと泣き出して、聞いても怖がって理由を教えてくれない。今までは好きだったのに、遊ばなくなり、他の子どもを避けるようになる、あるいは喧嘩ばかりするようになる等があります。子どもの場合、トラウマによる影響がでている症状と、発達障害(ADHD,アスペルガー、自閉症など)を混同されることもよくあります。本当は必要では無い薬を飲んだり、「じぶんは変なんだ」と、自分を責め、自尊心を傷つけることにもなりかねません。

EMDRはごく簡単な刺激を、交互に与えることにより脳に働きかけ、トラウマの影響を軽減します。通常の会話による治療とはちがい、言葉にたよらないため、子どもにはうってつけです。(もちろん大人にもお勧めしますが)興味の有る方は、英語 http://www.emdria.org 日本語 http://www.emdr.jp の学会のウェブサイトもあります。
「うちのこって、どうしてこうなのかしら?」と一人で悩まないで、まずは相談してみて下さい