November 2010 Archives

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褒め方、叱り方を紹介してきましたが、今回は、謝ることについてです。自分が何か間違った事をした、相手に迷惑をかけた、傷つけた時には「ごめんなさい」と謝りますよね。そして、そのすぐ後に「でも、あなたも悪いでしょ?!」と続けると、「でも(but...)」の前のごめんなさいは、かき消されてしまいます。相手が子どもだからといって、謝るのをおざなりにしていませんか?

 

子どもが、親の注意を引く為に、わざと何かする事がありますよね。その時に、駄目でしょ?ちゃんと謝りなさい、といっても意地になって謝らず、あげくの果てには謝りたくない、と泣き出したのを見たことがあります。色んなことがわからない子どもは、失敗する機会も多く、いつも一方的に謝る立場にあるので、面白くないのでしょう。子どもとのセラピーをしている時に、大人である私が何か些細なことで間違えると、子ども達は大喜びしました。いつも自分たちにああしろ、こうしろと指図し、間違いを指摘する立場の大人が間違えた。ざまあ見ろ、という感じでした。でも、ちゃんと私が彼等に正面から、ごめんね、と言い訳をしないで謝ると、かえって「いいよ、気にしないで、大丈夫だから」と慰めてくれました。いわゆる「悪い子」として手がつけられない子どものほうが、寛容でした。彼等は、公平かどうかにとても敏感です。そして、相手が自分たちを公平に扱ってくれる人かどうかをしっかりと見分けます。子どもだからといって、大人が謝らないのは、彼等を尊重していないことになります。照れずに、ちゃんと顔を正面から見て、ごめんね、と言ってみて下さい。

 

 

謝れない子どもの多くは、不公平さや、謝っても許してもらえない、むしろ、謝ったが最後、次々と過去の失敗もあげられ、挙げ句の果てには、その子の人格を否定するようなことを言われることを体験してきているようです。子どもがちゃんと謝れるようになるためには、大人がまず彼等にどうやって謝ったら良いのか、そして受け止めればよいのか、お手本をみせましょう。子どもにも、ちゃんと謝る。説明するのはいいけれど、「でも」と言い訳をして、ごめんなさい、という気持ちを否定しない。子どもの前で、声を荒げず、大人同士でちゃんと謝れますか?子どもはちゃんと見ていますよ。そして謝られたら、それをそのまま受け止めましょう。許す、許さないは、また別のことです。許せないのなら、それは何故なのか、きちんと説明できますか?言わなくても通じることもありますが、言わないでこじれることの方が多いようです。ちゃんと言葉に出して、「ごめんなさい」、「謝ってくれてありがとう」と言える関係。自分のことを受け止めてくれるという信頼は、こういった小さなことから生まれてきます。今日からはじめてみてください。

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頭ごなしに親が子どもを叱りつけるような、上下関係の強かった昔と違い、最近の親子関係は、その対極ともいえる、何でも話せる「友達」のような関係が増えているようだ。大人になってから、それで上手くいくケースもあるだろうが、セラピーの現場では、その極端な親子関係で傷ついている子ども達、または親達を見ることが多い。

 

違う家庭環境で育った2人が一緒になるのだから、親同士の関係が上手くゆかないこともでてくる。そこで、互いに向き合おうとせず、無意識に子どもを巻き込むと悲劇が始まる。良くあるパターンとして、子どもが母親(父親の場合もある)の愚痴の聞き役としての役割(もう片方の親への不満を含む)を果たすうちに、 母親の肩を持つ形で父親との関係が希薄になり、父親が家に居辛くなる。子どもは、結果的に自分と父親を遠ざけた母親にも、無意識のうちに不満が募る。結局、家族全員が不幸になるのだ。

 

離婚をしたカップルは必ず気をつけて欲しいし、一緒にいるカップルであっても、子どもがいるのなら、彼等の前ではもう片方の親の悪口を言うのは控えて欲しい。彼等の半分は、もう片方の親を由来しているのだから、無意識にも自分のオリジンを否定されることで、子どもはとても傷つくのだ。そして、自分に対しても自信が持てなくなる。

 

相手のやることを100%満足し、受け止められる人はいない。だからといって、「聞かない」というチョイスのない子どもに、彼等のもう一人の親の 愚痴を 垂れ流しに言うのは、親の傲慢であり、パワーハラスメントに近い。親も、子どもも、意識してやっていないことを祈るが、この悪影響は後に大きく響く。子どもの将来のパートナーへの関わり方、子育ての仕方に、あなたの親から続く不健康なパターンが引き継がれてしまうかもしれない。気をつけ、努力すれば、そのパターンは変えることができる。

 

子どもをセラピスト代わりにしていないだろうか?自分が満たされない寂しさ、相手への不満のはけ口にしていないだろうか?子どもは、あなたの友達でも、いつでも使える相談役でもない。親は、子どもが、安心して色々試して、成長してゆく安全な環境を与えることを大切にして欲しい。沢山の子どもとセラピーをしてきて、ほぼ間違いなくいえるのは、子どもの行動、精神問題は、家族、親の問題に密接に関わっている場合が殆どである。完璧な親になる必要はないが、子どもが、こどもらしくいられるように、親は、自分の問題に立ち向かえる強さを持って欲しい。必要ならば、セラピーに行っていくらでも愚痴を言ってみてはどうだろうか。家庭の問題が改善されると、必ず、子どもの症状も改善される。後に取り戻すことができない、 子どもが、子どもでいられる 大切な時代をプレゼントして欲しい。